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好きなことを追求するのが人生でいちばん幸せなこと 東北大学スマート・エイジング学際重点研究センター 副センター長 瀧 靖之 好きなことを追求するのが人生でいちばん幸せなこと 東北大学スマート・エイジング学際重点研究センター 副センター長 瀧 靖之

脳の発達と加齢の研究をしている、脳科学者・瀧靖之先生をお迎えしました。バンタンが掲げる現役プロ講師による「実践教育」や企業との「産学協同プロジェクト」は、脳科学者の視点からどのように見えるのでしょうか?

瀧先生は、「脳が加齢する理由、また加齢を抑える要素の研究に取り組んでいます。好奇心が、人の見た目、自己肯定感や脳の健康にも関わってくるのではないか?と考えています。」と教えてくれました。

自己実現するには、
主観的な幸福度を上げることが大切

脳科学と教育の関連性には深い関係があると言います。

「子どもたちが自己実現するには、主観的な幸福度を上げる方法があります。また、学力、好奇心が伸びるかどうかも脳科学と密接につながっていると考えられます。
では、記憶力を上げるにはどうしたらいいかというと、ひとつに『好きになる』ことがあります。感情と記憶とは、密接に関わっていると言われています。
何かを好きになり、勉強する機会を増やすことは『単純接触効果』と呼ばれていて、興味の対象に触れる回数が多ければ多いほど、好意的な態度が形成されると考えられています」

好きなことを
追求することは、
脳科学的にも非常に良い

バンタンでは、「好き」を思いきり磨く環境を提供しています。好きなことを仕事にすることは、脳科学的にどのようなメリットがあるのでしょうか。

「少し専門的な言い方をしましょう。
感情と記憶は密接な相関があります。趣味であろうと、仕事であろうと、好きであることがいちばん大事です。好きと感じるところは、脳の中で言うと『扁桃体(へんとうたい)』と呼ばれる領域。脳の奥深いところに『側頭葉(そくとうよう)』があり、その前の方に扁桃体が位置しています。機能としては感情を司ります。扁桃体のすぐ後ろには『海馬(かいば)』と呼ばれる記憶を司る領域があります。海馬と偏桃体は隣合わせに存在していて、感情と記憶には強い相関があると考えられます。
一般的に、脳の神経は生まれてから徐々に減っていきますが、海馬は神経細胞が新しくなる、『神経新生』する唯一の場所と考えられています。ただし、ストレスがかかると神経の新生は抑えられてしまいます。楽しいと思うことが、神経新生を促進すると言われています。脳の機能を高めることが期待でき、楽しいこと、好きなことを追求することは脳科学的にも非常に有用だと思います。
記憶が増え、知識が増えれば、能力が上がります。まさに好きこそものの上手なれ。私自身も、仕事でも趣味でも好きなことばかり追求しています。好きなことを追求することが、人生で一番幸せなことだと思います」

プロ講師による実践教育の
素晴らしいところは
「模倣」ができるところ

バンタンの特徴のひとつに、プロの現場に近い「実践教育」があります。数多くの現場派遣、インターンシップや産学協同プロジェクトを行っています。

「実践教育の素晴らしいところは、模倣ができるところです。子どもたちが言葉を喋り、箸を持つことも、すべて大人の模倣です。人には模倣に特化した神経『ミラーニューロン』というものがあることも分かっています。座学で知識を入れることも大事ですが、まずは見て学ぶことが大事。プロと実践で学ぶと、単なる技術だけでなく、その業界の言葉使い、仕草、マナーやしきたりなども学べると思います。リアルに学ぶほうが、五感で入ってきますので、よりその能力を会得しやすくなると考えられます。現場に何度もいることで、模倣ができますし、『単純接触効果』でその分野をより好きになれる。さまざまな能力を高めるうえで有用だと思いますし、非常に素晴らしい取り組みだと思います」

知的好奇心、
コミュニケーション力、
仲間を持つことが、
何かをやり遂げる力になる

バンタンでは、生徒を「メンバー」と呼んでいます。教師から一方的に生徒に教えるのではなく、社会の一員である「メンバー」として対等に扱い、詰め込み型ではなく、自発的に学んでもらうカルチャーを醸成しています。

「素晴らしいことです。趣味を持っている人は、好奇心旺盛だからというのもありますが、なぜそうなのかと考えると、『自己効力感』が関係しています。やらされてやるよりも、自分で何かを身に着けて学ぶ『学習の主体性』が高い方がいい。学習の主体性を高めていることが素晴らしい。自己肯定感の中にある『自己効力感』も鍵になります。主体性があると、自己効力感に繋がります。これは、自分が努力することで何かを変えることができる、という気持ちのことで、これは学習においても、何をするにしてもすごく大事なものです。
また、自分を俯瞰し、どうやったら技術を会得することができるのか。トライ&エラーをして磨いていくと、勉強にも仕事にも活かされると思います。これは『メタ認知』と呼ばれていて、さまざまな能力を高めるのにすごく大事なことです。学び方を学ぶのは基本中の基本です

遠くない将来、
楽しく学びなおすためにも、
同じ価値観を持った仲間が必要

人生の中盤で、キャリアを変えないといけないとき、仲間がいることで得られる気付きもあり得るのではないでしょうか。

「20代で学んだことは、40代で古くなる可能性があります。遠くない将来、楽しく学び直す必要があります。
そのときに、大切なことはふたつあって、ひとつは知的好奇心、もうひとつはコミュニケーションです。同じ価値観を持っていると、コミュニケーションしやすいですよね。知的好奇心、コミュニケーション、仲間を持つことが、何かをやり遂げる力になると思います」

好きな事を突き詰めることは
素晴らしいこと

進学前に「ファッション業界に進みたい」と相談すると、周りから心配されるケースがあるみたいです。

「好きを突き詰めたときに、どこまで職業としてなりたつのか不安、というのは当然あると思います。でも、何かにハマれる人というのは、大抵は他のことにもハマれるんですよ。本質は多くのことを面白がれる、強い大きな好奇心を作ることだと思います。本人の価値観で決めるものだと思いますし、好きなことを突き詰めることは考えている以上に素晴らしいことですよ」

上手く行かないときの
乗り越え方

何か好きなことを突き詰めようとしたときに、必ず困難があると思います。上手くいかないときの乗り越え方はどのようなものでしょうか。

「困難を困難だと思うということは、未だ好きじゃないんですよ。好きだと思えば、なんの困難でもありません。僕自身もピアノで世にいう難曲を下手ながら弾きますが、面白くてしょうがない。それが困難だと思うならもっと好きになるといいですよ。
私自身、失敗はあまりないと思っています。なぜないかというと、最後までやり遂げるから。諦めなければ失敗にはなりません。困難を困難と思わずに、高みに到達するひとつのキッカケをもらったと思えばいい。とことん極めると次の世界が見えると思います」

面白がれる、ハマれることが
力になる

バンタンにも「好き」という強い気持ちを持つメンバーが多いです。在校生、これから入学を検討している方にメッセージをお願いします。

「優秀でも、情熱が少ない人は伸びにくいと思います。いい大学に入って社会人になっても、伸び方に限りがあります。対して、何かにすごくハマっている人はスポーツでも芸術でも、他の分野にトライしても伸びる人が多い。面白がれる、ハマれる力はとても大切です。好きなことを選んだなら、とことん突き詰めてください。長きにわたり幸せが続くと思います」

PROFILE

瀧 靖之

東北大学スマート・エイジング学際 重点研究センター 副センター長、教授、医師・医学博士
東北大学加齢医学研究所教授
東北大学発スタートアップ企業 株式会社CogSmart代表取締役
医師 医学博士

東北大学加齢医学研究所で脳のMRI画像を用いたデータベースを作成し、脳の発達や加齢のメカニズムを明らかにする研究者として活躍。読影や解析をした脳MRIは、これまでにのべ約16万人に上る。
「脳の発達と加齢に関する脳画像研究」「睡眠と海馬の関係に関する研究」「肥満と脳萎縮の関係に関する研究」など多くの論文を発表している。
著書は、「生涯健康脳(ソレイユ出版)」「賢い子に育てる究極のコツ(文響社)」「回想脳(青春出版社)」始め多数、特に「生涯健康脳」「賢い子に育てる究極のコツ」は共に10万部を突破するベストセラーとなり、海外でも複数カ国語で翻訳本が出版されている 。テレビ東京「主治医が見つかる診療所」、NHK「NHKスペシャル」、NHK「あさイチ」、TBS「駆け込みドクター!」など、メディア出演も多数。

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