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インタビュー

MIKIO SAKABE デザイナー 坂部三樹郎氏インタビュー

バンタンはとてもアグレッシブで、保守的な印象がありません。色々なことにチレンジしながらそれを50年続けるっていうことは、一番難しいですし、単純にすごいことだと思います。

僕は、リトゥンアフターワーズの山縣良和くんからの紹介で、バンタンデザイン研究所の講師をはじめたことがきっかけでバンタンに関わるようになりました。僕自身は大学を卒業後すぐに海外のデザイン学校にいってしまったので、日本の専門教育についてはほとんど何も知りませんでした。山縣くんとは、日本はファッションの知識や技術が教えられても、クリエイションの教育が弱いということを話していたので、僕としてはそこを強化したいと思いながら講義を行なっています。ファッションの分野でいうと、日本の専門教育機関の多くは、縫製技術を教えて縫い子として就職していくということに中心をおいた教育からはじまっているので、そもそもクリエイション自体を教えるという教育になっていないですよね。

講師として関わったことで、バンタンについても色々な部分が分かってきましたが、固定されたシステムでやっていないので、ものすごいフレキシブルに時代に合わせてどんどん変わっていく印象が非常に強いです。他の専門学校は何十年も続いている固定のシステムがあるので安定はしているんだと思います。ただバンタンはそうじゃなくて、新しいことを色々模索してチレンジして、成功もするけど失敗もたくさんする、それでもまたチレンジしていく。僕はそこがバンタンの好きなところだし、一番の武器じゃないかなと思います。そういう部分を見ても、バンタンはクリエイション教育に向いていると思いますよ。

いま僕は、自分のブランドMIKIO SAKABEや、展示会からアイドルまで様々なキュレーションやプロデュースをやったり、山縣くんと本を出したり、「ここのがっこう」っていうプライベートスクールなど色々なことをやっています。よく肩書きを聞かれますけど、一括りにはできないですし、自分でもしなくていいんじゃないかと思っています。ライトノベルみたいに、一個のストーリーにSFも学園もラブコメディも全部のジンルが入っていて、何かのカテゴリーに決めないで全部やることが今の時代ではイケてるような気がします。

これからの時代は、一人一人が個性を持った個人になって、知識とか技術よりもクリエイションができる人材、そして人間として見た時に人としての魅力を持った人材にならないと生きていけなくなるんじゃないかと感じています。あと、自分が何も知らないんだっていうことを自覚することも大切です。どんなに勉強しても、インターネットが便利になっても、ただ知識を知ったかぶっているだけで、その知識が人生における何の役に立つのかを分かっていない場合が多いです。自分は無知なんだという前提で、自分が本気でやりたいと思うことが目の前にあれば、実現のために必要なことを全力で調べる。そうすると、見えてなかった道が見えてきます。人は自分のやりたいことのために努力すれば必ず答えが見えてくるんですよ。ファッションでもどんな分野でもかまいませんが、クリエイションできる魅力ある個性を持った人が育ち、その人自身が未来のシンボルとなれるような人材が活躍してくれたら世界はもっと楽しくなると思いますし、バンタンにはそういう次世代の人材をどんどん育てていってほしいですね。