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インタビュー

フリーライター マフィア梶田氏インタビュー

06生としてゲームライター科に入学し、講師として舞い戻ってきた自分ですが……たった今はじめてバンタンが50周年を迎えたということを知りました(笑)。本当におめでとうございます。
そのうち自分が関わった年数を考えますと、まだまだ若輩者なんですが……こうして50周年を記念する企画にピックアップしていただけて、大変光栄に思っております。

高校時代、ゲーム雑誌に載っていたバンタンの広告で「ゲームライター」という職業が存在することを知りまして。昔から学校の成績は酷いもんだったのですが、親父の影響で読書が趣味だったおかげで文系科目だけは比較的マシだったんですよ。そして、読書と同じかそれ以上に想像力を刺激してくれる“ゲーム”というコンテンツは自分にとって非常に大きな存在だったんです。
それまでは文章を書くような職業なんてまったく進路として意識していなかったのですが、よくよく考えてみれば作文を書くのも嫌いじゃありませんでしたし、ゲームをプレイしてそれを文章にする仕事というのはもしや天職じゃないかと。……それが具体的な“目標”になるまで、そう時間はかかりませんでしたね。要は、まんまと広告にホイホイされて入学してしまったわけです(笑)。

そして入学した当時の印象は……正直、バンタンがどうというより、「専門学校」というものに対する不安は多少ありました。「あんなものは行っても意味が無い」というようなことを言う人がいたり、なかでも特にオタク業界は専門教育に対してネガティブな意見が多いので。
それが、実際にバンタンで過ごしてみると完全な杞憂であったことが判明しました。講師はみなさん現役のライターでしたし、だからこそ「プロとはかくあるべし」という明確なビジョンを示してくれる講義は大変ためになるものばかりだったんです。学校や教師というものを心底嫌っていた自分が、初めて“学ぶ”ということに価値を見出した場所だったかもしれません。……また、バンタンのおかげで長らくボッチだった自分に初めて同じ趣味について語り合える仲間ができましたね(笑)。

しかし、それから自分が講師になってもう3年くらい経ちましたかね。当時お世話になったみなさんと同じ立場になってみると、“教える”ということの難しさが実感できて恩師のみなさんに対する感謝の念がさらに強まりました。
また、「なぜ学校の講師をしているのか」という点について。これは皆さん同じだと思うのですが、ぶっちゃけ授業をやっている時間に他の仕事をした方が実入りは良いんですよね。つまり、主な目的は金銭的な報酬じゃないんです。じゃあ、なぜ講師なんて面倒な仕事を引き受けるのか……やっぱり、後進を育てたいんですよ。
これはなにも、教育者としての使命を感じているとか、そういう聖人めいた話ではなくて。とてもリアルな話として、ライター業界はものすごく横のつながりが深い業界なんです。知り合いが増えれば増えるほど、仕事も増えていく。だからこそ、有能なライターを自らの手で育て上げるということに明確な“メリット”があるんです。将来的に大きな仕事を任せたり、逆に仕事を斡旋してくれることもあるやもしれない。それがあるからこそ、恩師のみなさんも真剣に面倒を見てくれたんだと今では確信しています。

自分の職業はフリーライター……だったはずなんですが、最近ではラジオや動画の番組に出演したりすることの方が多くなっておりまして。なんとも複雑な気持ちなのですが、頭のなかで文章を組み立てるのはライティングするのもトークするのも一緒だしライターの仕事と言えなくもないだろうと、無理くり自分を納得させています(笑)。
フリーライターという職業は何の後ろ盾もない代わりに、やろうと思えば何でもできるという自由を武器として持っているので。依頼された仕事はたとえ専門外でも恐れず引き受けることにしています。そのポリシーに従ってラジオパーソナリティの仕事をひとつ引き受けたらレギュラーがポコポコ増え、それがやがて動画になり、イベント出演になり、さらにはテレビ番組やゲーム、映画にも出演してみたり。現実として“自由”であることを武器に、仕事の幅は際限なく広がっています。
なので、元々どうしようもないアウトサイダーだった自分をここまで育ててくれた恩師の皆さん、そしてバンタンゲームアカデミーには心の底から感謝しております。講師をやることでその恩返しになれば……と、常々思っていますね。

これからのバンタンに求めたいこと……。

恩返しのことは一旦さて置き、ギランティの値上げですかね(笑)。