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インタビュー

ANREALAGE デザイナー 森永邦彦氏インタビュー

50年続けてきたということはすごいことだと思います。
僕は大学とのダブルスクールでバンタンに入学しました。当時、パターンと縫製の先生が現場の第一線でやられているプロの方で、ブランドをやるためにバンタンに入学したという話をしたら、授業とは別に時間を作ってくれて、自分で作ってきた洋服を見てくれました。授業で習うこととは別に、自分の洋服に何が足りないのか、どうしたらいいのかということを一緒に考えてくれて、今思ってもファッションと教育への志が高い先生たちだったと思います。

基本的なことなんですけど、授業では、服をきちんと作れないとブランドなんか作れないからまずはしっかり技術を身に付けよう、そうしないとほんの数ミリずれるだけでも洋服の伝わり方が変わってしまうんだということを教わりました。それは今でも僕が洋服を作る上でとても大切にしていることで、細部にこだわるからこそ、長く人に着てもらったり、愛されたりするような服になるんだと思います。

実は、キリアスクール時代の縫製の先生たちには、2015年3月のパリコレクションで発表したルックでもサンプルを縫ってもらっていたりしています。バンタンにいた時から、いつかそういう先生たちと仕事がしたいという思いでやってきたので、きちんと仕事としてお願いできるようになってから、ずっと協力してもらっています。

ファッションには正解がありません。通常の学校教育では正解とされるものがあって、例えば家庭科でも先生や周りのみんなと全く同じものを作りますよね。そういうことが僕は全く面白くありませんでした。バンタンに入ってからはその真逆です。特にファッションでは、学校の勉強などと違って、正解から外れれば外れるほどそこが光ってきます。それは、僕がファッションで一番好きな部分で、“人と違うことを価値にしてくれるもの”ってファッションしかないし、それこそがファッションのチカラだと思うんですよね。

現在「アンリアレイジ」は、パリコレクションでのファッションショー、その後に展示会をやって、その間も直営店で洋服を販売するという活動を行なっています。パリの舞台で、自分たちの世界観でショーをするというのは、学生の頃からの一つの憧れであり夢でした。まだパリコレクションは2回目ですが、たとえ発表する場所が変わっても、媚びる事なく、変わらず自分たちらしい服づくりを貫きたいと思っています。春夏、秋冬、と一つ一つの発表に全力をかけて、丁寧に、結果を積み重ねていこうと思います。時間はかかるかもしれませんが、諦めることなく粘り強くやっていきたいです。

メッセージ

これからも夢を持ってクリエイティブの分野に進もうとする新しい人達にどんどん出てきてほしいです。ただファッションの道に行こうとするなら、この世界は甘くないっていうのが第一で、やっぱり夢を見ているだけだと続きません。一番重要なことは「継続」すること。自分の仕事がその時に評価されなかったとしても、いつどこのタイミングで誰に評価されるかは続けないとわからない。ファッションは、続けていくことで自分の服を認めてくれる人に必ず出会えます。そんな人たちと出会うために、バンタンのように自分が志す道を長く続けていって欲しいと思います。