PROJECT01 ASIA FASHION COLLECTION

若手クリエイターが世界にはばたく時代を創る

業界で活躍できる人材を輩出するため、バンタンはインキュベーション(独立支援)に力を入れている。その代表的なプロジェクトが、2018年で6回目を迎える「Asia Fashion Collection(以下AFC)」だ。東京とNYで開催するコレクションにて、アジア各国から選抜された若手デザイナーによるランウェイショーを実施。クリエイターの海外デビューから継続的な活動までを支援するこの取り組みは、どのような経緯で生まれたのだろうか。

在学中のAFC参加を狙う、ファッションデザイナー独立支援クラス「X-seed」も設置。在籍学生が手がけるブランドは、すでに最年少での東京コレクションデビューを果たしている。

AFCは多くの若手デザイナーに門戸を開くコレクションだが、バンタン在校生はつねに大きな存在感を発揮している。プロフェッショナルの講師陣や同級生に揉まれ、切磋琢磨しながら、確かなスキルを身につけているからだ。

MEMBER プロジェクトメンバー

  • 石川 広己 顧問 インキュベーション強化の発案者。プロジェクトを立ち上げから支えてきた。
  • 野尻 貴将 2000年 新卒入社
    営業企画部マネージャー
    AFCの初年度企画より参加。全体のディレクションや進行管理を担当している。
  • 夏川 知子 2017年 中途入社
    営業企画部 海外プロジェクト担当
    本プロジェクトに惹かれてバンタンに入社。運営サポート・PRを担当する。

※2018年10月時点の情報です。現在の所属、肩書とは相違がある可能性があります。

前例のない挑戦。学生が海外で活躍できる土壌づくり。

石川:AFCを立ち上げたのは、学生たちが海外で活動する土壌をつくるためです。世界中の若手デザイナーたちと肩を並べて、競い合う経験をしてほしかった。いうなれば、甲子園のような場をつくりたかったんです。もちろん、最初は困難ばかり。NYコレクションの出場枠を学校が押さえることは、前例もなく、国内外の関係者とリレーションを築くまでが大変でした。

 

野尻:開催が決まってから、実際のコレクションを運営するのもなかなか骨が折れました。でも、ブランドをやりたくてもスキルや人脈がなくて実現できない学生が多いのはわかっていて……だからこそ、その子たちが夢をかなえるきっかけをつかめるように、AFCを大きく成長させていきたいという想いで頑張ってきました。

 

夏川:私が入社したのも、このプロジェクトがきっかけなんですよ。海外留学したとき、すごく視野が広がった経験があって……若手デザイナーに同じ経験を提供するAFCに、とても興味を持ったんですよね。

ブランドを継続させていくためのフォローまでを、丁寧に。

野尻:このプロジェクトの最終的な目的は、コレクションから生まれたブランドが継続的に活動できるよう、支援をすること。だから、ショーの管理だけでなく、ブランドがデビューする機会を増やすために、外とのコネクションをつくっていかなければなりません。洋服の素材を扱う会社とつながったり、支援してくれそうな投資家を探したり……草の根的な活動が多いけれど、目的が明確なので、やりがいはありますね。

 

石川:成功パターンがある仕事ではないから、トライ・アンド・エラーを繰り返すのも醍醐味かもしれないね。

 

夏川:私が担当しているPRも、AFCを国内外に知ってもらうための仕事です。情報を届ける相手は、世界中のファッション関係者。SNSひとつ取っても、投稿ごとにターゲットを想定して言語や口調を変えるなど、細かな工夫を欠かしません。いろんな仕事が同時進行で目が回りそうだけど……AFCの輪を少しずつでも広げることが、新たに生まれるブランドの発展につながっていくと感じています。

熱く伸びていく学生たちの姿に私たちも触発される。

夏川:2018年は、NYコレクション出場に選抜された3ブランドが、すべてバンタンの学生でした。海外モデルに着てもらうのが初めてだったから、現地入りしてからが大変で……サイズを調整したり、小物を揃え直したり、みんなギリギリまで頑張っていましたね。熱意を持って取り組んでいる姿を見ると、本当にぐっときます。

 

野尻:確かにね。僕が印象的だったのは「X-seed」に通うために上京してきた大阪の学生。やりたいことをなかなかデザインに落とし込めなくて、最初はすごく苦労していたんですよ。でも、4回目のAFCに出場してからブランドがクチコミで広がっていって、いまでは雑誌の取材を受けたり、全国4都市での商品卸が決まっているんです。彼も、ある意味で僕たちも、努力が報われていると感じられますね。

 

石川:学生だけじゃなく、君たちも成長していると思う。夏川さんは海外での交渉力がついてきたし、野尻くんはマネジメントスキルが上がったよね。現場のことは、もう安心してふたりに任せています。

業界を、より盛り上げていくために時代に合わせて、プロジェクトは変化する。

石川:構想から6年が経ち、新しい挑戦の場を生むことができて、これからは進化の段階。ショーを終えたあと、どうやってビジネスとして成立させていくかにもっと目を向けていきます。

 

夏川:そうですね。海外の関係者は、東京のファッションや若手のブランドにすごく興味を持っているから、そこをしっかりと繋ぎたい。整ってきた土台に人を集めて、プロジェクトを次に進めたいです。

 

野尻:ブランドのファンを増やすPR活動や、投資家・マネジメントとのマッチングは、これからさらに力を入れていく予定です。それに、AFCは固定のプロジェクトではなく、時代の流れやニーズに合わせて変化するもの。今年は「AFC-U18」という、中高生向けの派生プロジェクトも動き始めました。

 

石川:洋服に興味を持つ10代は、減少傾向にあります。だからこそその芽を伸ばし、夢を叶えるチャンスを提供することで、ファッション業界を盛り上げていきたい。前例のない仕事に臆せず、若手の挑戦や成長の機会を創り続けていきたいですね。