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EN VEDETTE(アン ヴデッド) オーナーパティシエ 森 大祐氏

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-流れで飛び込んだ、パティシエの世界-
製菓学校卒業後、中野のフランス菓子店「ロイスダール」、その後「グランドハイアット東京」に就職しました。僕たちが学生の頃はスイーツブームも起こる前で、当時は大手が一番元気だった時代でしょうか。パティシエを志したきっかけは、実は父がパティシエで僕は2代目なんです。他にやることがなくて流れでパティシエの世界に入りました(笑)。なので、学生たちがスイーツやパティシエに自発的に興味を持ち、この世界に飛び込んでくる姿には感心します。正直、当初僕はそこまで興味はなくて父の後を継ぐのが楽だな、というそんなスタートでした。僕は就職してから本格的にこの世界にのめり込みました。お菓子作りや商売としての楽しさに気づいたんです。そこから自分の道をじっくり考え出しました。ロイスダールで一通り経験させてもらったので、次は別の場所で経験を積むことに興味を持ち、それが次のステージ、ホテルでのパティシエでした。

当時は「クープ・デュ・モンド」などコンクールも盛り上がっている頃で、そうしたコンクールではホテルのシェフが歴代受賞していることが多かったこともあり、グランドハイアットに入りました。その後、パリにわたりましたがその頃のパリにはM・O・F※のパティシエのお店はローラン・デュシェンヌさんのお店しかなかったんです。M・O・Fの職人は大手で雇われることが多く、自分で店を持つことは滅多に無いようです。そうした意味でもローラン・デュシェーヌさんは珍しい人で、そこで1年程修行しました。その後ビオのブーランジェリーである「モワザン」で1年、異なる形態の店舗で経験を積みパリには4年弱いました。帰国後は豊洲のパティスリーSAKURAの立ち上げからシェフ・パティシエとして携わり、その後今に至ります。

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-「既成概念をいかに崩せるか」が自らに課した今回のテーマ-
最初は父の店を継ぐつもりでしたが、色々経験を重ねる中で自分の店を持ちたいと思うようになりました。やっていくにつれてステージを変えて挑戦したい思いが出てきたんです。今回オープンする「EN VEDETTE」に関しては、約2年前から構想を練っていました。パティスリーSAKURAの立ち上げでトップをさせていただけることはとても光栄なチャンスでしたが、同時に自分の想いを100%出せないのも事実でした。それが次のステージへ移るきっかけとなりましたね。僕たちの職業は箱(店)があり、商品があり職人がいて成り立つ職業なので、そうした人との出会いが今の結果につながったと思います。

開業にあたっては、やはりパリでの経験が大きく、僕の考えでは日本はどうしても全てにおいて「こうじゃないといけない」という考えに流されやすい国民性だと思うんです。つまり、店舗にしても既存の考えから「お菓子を綺麗に見せるために照明は明るくするべき」などという考えがあがってくるもので、それをいかに崩せるかが今回僕にとってのテーマでした。温かみがありお菓子も美味しそうに見える店を実現するため、様々な業種の店舗の良いとこ取りをしてこの「EN VEDETTE」に落とし込むというのが僕の一番の想いでした。今までにないものを表現する店にしていきたいです。

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この店でのこだわりの1つに、空間があります。空間がもたらす効果は商品にも効果があると思っていて、店内には敢えて真ん中に畳を置きました。これは店のコンセプトの1つでもある「和を洋に落とし込む」表現の1つとなります。僕たちが日本でフランス菓子の「パティシエ」という職業をやっているのは、いわばフランス人が寿司屋をやっているようなもの。フランス人やアメリカ人の寿司屋で思いつくものに「カリフォルニアロール」がありますが、これは彼らだからこそ発想できたもので決して日本人には考えつかないものでした。僕の店では「和の心を持った人間が、洋を表現した」新たな提案を表現したいんです。僕がフランスにわたった理由は、フランス人の表現力や彼らにしかないものを吸収するためでした。日本人の僕をフランス人にどうデフォルメして融合させるかを追求しました。日本とフランス、両方の目線で一つの作品をつくることができるようになりたくて、それを繰り返すことでいずれは自分の表現法が確立され、テーマ設定ができる職人になるはずだと考えました。どこにいても自分なりのテーマを持つことが大切だと思っています。こういうことをバンタンの授業内で学生に伝えているんですが、理解してくれてるかいないかの半々といったところでしょうか(笑)。

-目標設定した上で「夢」があれば、何をしてもきっと楽しいはず-
バンタンとの関わりは約4年になります。バンタンの学生たちはいいものを見ていると思いますよ。基本的に学校で教えるのは全国どの店も同じ「ケーキ屋さん」としてフラットに教えるイメージがありますが、バンタンはクラシックな部分はクラシックに、クリエイティブな部分はクリエイティブにと、強弱のついた教育をしていると思います。なので知識として必要な部分を明確にしつつ、包括的に教えていると感じますね。あとは、講師陣がすごく贅沢(笑)。だから学生が理解できるかどうかは別として、あれだけ多くの講師陣からその個々の考え方や人間性など、成功している方の「言葉」を嫌でも聞いているはずなんです。なかなか他ではできないことだと思いますよ。あとは学生がどこまで受け入れ体制をとれるかです。成功している方の言葉というのは裏を返せば結果論ですから、その言葉をひとつの「目標」として捉えて聞いてくれればと思って僕は常々学生に話しています。「結果を出すために、その道を辿ろう」ということではなく、それを目標として行き着くにはどういった努力が必要かとか、そうした考えに至るには何を見ておくべきかなど、学生自身でその過程を考えてもらいたいですね。あれだけのプロフェッショナルの話を聞けるだけでも、目標設定がしやすくなると思います。

僕は常に目標やステージを意識することを大切にしていますが、学生たちには今後学校を超えてほしいですね。バンタン全体が今以上に現場要素を増せば更に良い学校になると思います。現状、良い情報が入る反面そのボリュームが巨大すぎてパンクしている学生も中にはいるでしょう。苦労話は結果論では決して伝わらない。そこをフォローして、学生自身が目標設定しやすくするためには「学校」ではなく「現場」という要素を更に増やすことが次のステージへつながると思います。学生自身に経験を通して身体で覚えさせるというか、目標設定した上で夢を持っていれば何をしても楽しいですから。そういう心にしてあげるのがサポーターである学校や、教える側の僕らの役割ですね。

DSC_0124_2.jpg-新たなスタート「EN VEDETTE」に込めた想い-
僕自身職人としては、今回の開業は新たなスタートです。ここからどれだけチャレンジしていけるか。一瞬だけの結果を追い求めるのではなく、10年20年先の自分を思い描いて店作り、お菓子作りを考えるようにしています。このお店のブランドコンセプトは「ライン(線)」なんです。お店のロゴマークの「E」が目盛りの1cmになっています。お菓子屋の仕事ってきっちりしていて、何センチ何グラムって必ず測りますよね。きっちり仕事をするからこそ安心安全、そして美しいんです。そうしたことをこのロゴに込めました。店名の「EN VEDETTE」は「主役」という意味ですが、これはこの街の主役となるお店を目指すこと、そしてお菓子には誕生日の場面や、贈られる人など必ず主役になる人がいて、そうした人たちに喜んでもらえる商品作りを目指すという意味を込めてこの店名にしました。お店は2016年10月21(金)ついにオープン、新たな始まりです!

■EN VEDETTE (アン ヴデット)
OPEN 10:00‐19:30
SUNDAY 10:00‐19:00
定休日 毎週水曜日(都合により営業時間、定休日は変更する場合があります)
住所 〒135-0022 東京都江東区三好2-1-3
TEL 03-5809-9402
WEB envedette.jp

※Meilleur Ouvrier de France (MOF)は、フランス文化の最も優れた継承者にふさわしい高度の技術を持つ職人に授与される国家最優秀職人の称号で、その名誉は日本でいうところの「人間国宝」に相当すると言われている。

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