sunaokuwahara デザイナー 桑原直氏インタビュー

50年は長いですよね。自分はいま55歳なんですが、50年というと私が5歳ですからね。

僕はデザイナーになりたいと思って学校を探していたとき、なんとなく惹かれるものを感じてバンタンを選びました。当時、洋裁学校という印象の専門学校が多い中、バンタンはデザイン学校という印象だったというのも大きかったですね。

僕が入学した頃のバンタンは、小規模なこじんまりした校舎でひとつのファミリーみたいなムードでした。その頃はそれがこんなに規模が大きくなるなんて思いもしませんでしたね。ただ、その当時からパターンや洋服の作り方という技術はもちろんですが、それ以上に自由に発想して、自分が感じたとおりにデザインを描くということをたくさんしていた印象があります。きっとそういうデザインに比重をおいた実践的な教育の部分は、今も変わらないんでしょうね。

sunaokuwaharaは、2015 S/Sがひとつの区切りになりますが、今後もブランドは継続しつつ、2016 S/Sに向けて新しいことをやっていく予定です。まだ具体的には何も決まっていませんが、もう一度自分のピュアな部分を呼び起こしてみたら、どういうことを感じられるんだろうという期待や楽しみがあって、改めて色々なことを見つめ直すいい機会だと思っています。

今の学生たちには、今思うこと、感じることをしっかり表現してほしいですね。仕事に就くと色々な事情や状況があるなかで仕事をしなければいけないので、そうするとその中で感じるものが自分の世界の大半になってしまいます。そういう制限がない学生という立場で、分からないからこそ感じること、今しか感じられないものは、すごく大切にしてほしいです。

基礎ができてないとその上に何かを足すことができません。論理的なことや机上の理論ばかりを教えられるよりも、分からなくてもいいから、デザイン画を描く、パターンをひくなど、とにかく洋服を作るという行為を数多くこなすことが大事だと思います。数を重ねることでやっぱり自分が足りないことが見えてきます。

どんなに自分が好きなことをやっていても、365日24時間すべてが楽しいことなんてないです。やり続けていく中で色々な苦労があってすごく大変だけど、でも後から振り返ってみた時に、やっぱり好きなんだなって思えることが自分にとって本当に好きなことなんだと思いますし、「好きであり続けること」には大きなチカラが必要なんだと思います。

これからもバンタンは、その道を目指す人たちの「好きであり続けるチカラ」を育む存在であってほしいですね。