株式会社gumi-gumi代表取締役/『Numero TOKYO』エディトリアル・ディレクター 軍地彩弓さんインタビュー

創業から50年ということですが、ファッション業界においてこの50年というのは、日本のデザイナーが世界に影響を与えはじめ、ファッションシーンの中でもすごくエキサイティングな時代。その時代をずっと支えてきたバンタンは本当にすごいと思います。

バンタンとの関わりは、去年、「FIRST CLASS」というドラマで衣装監修をした時からで、デザインを一緒にやっていただける学校さんがいたら面白いなという話から、バンタンデザイン研究所にお声掛けさせてもらったのがきっかけです。その時は、衣装をお借りしたり、学生デザイナーの方を起用して、ドラマに出てくる洋服を使用させていただいたりしました。とはいえまだ学生の方々なので、お声掛けをする前までは正直そんなにしっかりとしたクオリティのものが出てくるとは思っていませんでしたが、思っていたよりも時代の空気感をまとったカジュアルの中にも自分のオリジナリティを主張してくるようなデザインが多く見受けられて、フレッシュで面白い子たちがいるなと感じました。

その反面、今の学生たちは、良くも悪くも自分の好きなことだけを考えて生きている感じもしました。好きなことに関しては熱く語れるけど、関心のないことに関しては遮断するような感じ。Asia Fashion Collectionで審査員をした時も、プレゼンテーションを聞いていると、好きなモノしか追究できないという脆さを感じましたし、好きなモノを否定されるのが怖いんだろうなという印象も受けました。現代は、情報に対するアグレッシブさがクリエイティブに影響する時代だと思うので、もっと俯瞰で社会を見た方がいいと思いましたし、もっと自分たちと違う種類の人と出会うことも必要なのかなとも思いました。

私は現在、仕事の半分は、Numero TOKYOという雑誌でエディトリアル・ディレクターとして、Numero TOKYOの誌面からWEBサイトの更新に至るまでの戦略的な部分に携わらせていただいていて、もう半分は、株式会社gumi-gumi(グミグミ)の代表として、アパレルブランドのコンサルティングを行ったり、moussyのキンペーンのスーパーバイザーを務めたり、写真集などのビジュアル制作をしたりしています。ここ数年は、台湾のファッションイベント「スーパーガールズフェスタ」の監修も行っています。日本のアパレルブランドのブースを出して、現地の方に着てもらって、写真を撮って、SNSで拡散してもらったのですが、Tシツに短パンだった子が、moussyのセットアップを着て、すごくモチベーションがあがって喜んでくれているのが目で見てわかるんです。その時に、洋服は人を笑顔にする、好きな服を着た時に気持ちが上がる、そして上がった気持ちでやったことが結果としてうまくいく…というような良いサイクルのきっかけになる道具であるべきなんだと感じました。私は人が豊かになるようなファッションを伝えていきたいと思っています。頑張っている人はたくさんいるし、良いデザインもたくさんあるけれど、やっぱりそれがいいものだと伝える人がいないと、そこで埋もれてしまう。メディアに携わるものとして、自分の持っているユーザーに伝えていくことは続けていきたいですね。

また、今後も若い世代の人たちには、自分のためになる“気づき”を作ってあげられればいいなと思います。今の日本のファッションは元気が無いと言われていますが、元気にするにはもっと若い人の力が必要だと思います。今だからこそ活用できる新しいビジネスを武器にして、新しい21世紀のファッション業界を支え、創り出していくファッションのスペシリストが、一人でも多く育ってほしいと願います。